11ぴきのねこ
懐かしい『11ぴきのねこ』のお話です。子どもの頃、11匹のねこ達のとぼけた顔がかわいくて大好きでした。が、「なぜ11ぴきなんだろう?」と思っていました。
でもきっと、とらねこ大将1匹ではダメで、大将の他3匹くらいでも面白くなくて、その他10匹のねこ達がいるからこそ面白くなるのかなと思います。11匹がみんな腹ペコで、みんなで遠くの海にいる大きな魚を捕まえる野望を持ち、作戦をたて、何度も失敗をする姿は、なぜかとてもユーモラスです。
そしてこのねこ達の一番の魅力は、大きすぎる野望を持ったり、ダメと言われた事をみんながちょっとやってしまう所。いい子でないのが魅力なのです。しかも11匹全員。
それで困った事になっても、みんなであっと驚く知恵を出し合い解決します。
みんなで失敗、みんなで解決の面白さは、やっぱり11匹いるからこそ!なのですね。
11ぴきのねこ
馬場のぼる:作
こぐま社
14ひきのひっこし
お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんと10匹の子どもたち、合わせて14匹のねずみ一家の引っ越しです。新しい家を探しに森の奥へと進みますが、途中天敵のいたちに出くわしたり、流れの速い川を渡ったりと危機を乗り越えて、ついに素敵な木をみつけてみんなで家を作ります。
ねずみ達がとても健気でかわいくて、時々クスっと笑ってしまいます。
人間と同じように服を着て、同じように失敗したり助けたりしている様子が丁寧に描かれているので、とても身近な家族のお話に思えます。
昔は当たり前だった、おじいちゃんおばあちゃんがいる生活、たくさんいる兄弟は、ひと昔前の大家族を再現しているのかもしれません。さらに自給自足で生活をする様子も、生活の原点を見せてくれています。
ねずみそれぞれが困っていたり頑張っていたりとストーリーを持っているので、お話の他にもたくさんの事を想像して楽しめます。人間と同じように生きるねずみの世界に入り込み、大家族の中でのあたたかい暮らしを想像し、いつの間にか自分もねずみサイズの視点で見ています。小さい生き物は世界がこんな風に見えているのか、こんな風に生活しているのかと、大人も子どもも際限なく想像の世界に入り込んでしまいます。
14ひきのひっこし
いわむら かずお:作
童心社
だるまちゃんとてんぐちゃん
小さいだるまちゃんは、お友達のてんぐちゃんが持っている物が何でも欲しくなってしまいます。うちわ、ぼうし、はきもの、そして長いはなも!
その度にだるまちゃんのお父さんは、家にある物をたくさん出して来て、気に入る物を探してくれます。ぴったりの物はないけれど、だるまちゃんは素敵なアイデアで、てんぐちゃんと同じような物を作ります。
子どもの頃は、たくさん出された団扇や帽子一つひとつが面白くて、「これはどんな格好に使うんだろう?」と想像したりしていましたが、大人になってからは、ただただ、だるまちゃんの「あれほしい」に付き合ってあげるお父さんがすごい!と思ってしまいます。しかも最後はおじいちゃんおばあちゃんも揃って家族総出!
あんな風に、全身で子どもの思いを受け止めてくれる家族がいる事に、幸せなだるまちゃんは気づいているのでしょうか??
子どもの頃には気づかなかったけど、親になってから見ると、愛されだるまちゃんの幸せなお話なんだなと思います。そして、それは子育てで重要な要素だなと、つくづく思います。
ノンタン ぶらんこのせて
ノンタンシリーズの第1作目です。
子どもたちがみんなノンタン大好きなのは、きっとノンタンが子どもそのものだから!楽しいことは楽しいし、やりたいようにやりたいし、まわりの事はおかまいなし。でもそれでちょっと失敗してしまい、「あれ?」と気がつきます。
ぶらんこに乗ったノンタンも、楽しくてなかなか終われません。後ろにお友達が並んでいても気にしません。そこで、実は3までしか数えられないノンタンと一緒に、みんなで楽しく10を数えて交替します。しかもかわいいおまけつきです。
「かわってー」「まだまだー」のやり取りは、幼児期の遊びでは本当によくあります。社会性を教える絶好の場ではありますが、子ども本人が必要性を感じていないので、なかなかの難題です。
そんな中、ノンタンと他のお友達の様子を外から見る事で、自分以外にも気がつきます。楽しそうなノンタンと、困っているお友達。
すると実際の場面でも「必要性」はわかってくれます。交替できるかどうかは別ですが…。
ノンタンシリーズは、そんな子育ての小さなきっかけをくれる本です。
ととけっこう よがあけた
わらべ歌を元にした絵本です。「ととけっこう よがあけた」「まめでっぽう おきてきな」とにわとりがみんなを起こしてまわり、ページをめくるとみんなが起きて来ます。
巻末に楽譜もついていますが、「ととけっこう~」と口に出すと、ぴったりのリズムと抑揚が自然と出てくると思います。それくらい馴染みやすく、やさしい歌です。
保育園、図書館、支援センターなどでの赤ちゃん向けの読み聞かせには、必ず登場する本でした。絵本を使った親子のコミュニケーションの取り方を、たくさん教えてもらった気がします。
「ととけっこう」と呼びかけると笑顔で返してくれて、赤ちゃんながらも気持ちが通じてるな〜と幸せな気持ちになります。
ととけっこう よがあけた
こばやし えみこ:案/ましま せつこ:絵
こぐま社
はらぺこあおむし
本物のアオムシを見つけたら飛び上がって驚くのに、このあおむしを見つけるとうれしくなって手に取ります。最近はグッズも増えて、世界一有名で愛されているあおむしです。
絵の具を塗った薄い紙を何枚も重ねて描かれるエリック・カールの絵は、一目ですぐ分かるほど独特で美しく、もはや発明品と思えます。
月曜日から徐々に食べ物が増えていく階段状のページや、食べられた跡のパンチ穴など、色彩だけでなく紙面の工夫も施されていて、視覚と仕掛け両方の魅力を併せ持つ絵本です。
息子が保育園1歳児クラスの時、先生が歌付きで読み聞かせをしていて、「歌があるんだ!」と驚きました。あおむしが順に食べて行く様子をのっそりのっそり歌っていて、この絵本にぴったりの歌でした。4歳児クラスの娘も「しってるよ!」とズイズイやって来て、「げっつよーび~」と歌って教えてくれました。
歌のおかげか、1歳だった息子はよく一人でこの本を開いていました。
赤ちゃんでも十分楽しめる本なので、ボードブック版がおすすめです。
はらぺこあおむし
エリック・カール:作/もり ひさし:訳
偕成社
しろくまちゃんのほっとけーき
ホットケーキを焼く時には必ず思い浮かべる絵本です。
小さいしろくまちゃんがお母さんと一緒にホットケーキを焼くのですが、生地をフライパンに入れてから焼けるまでの途中経過が、順を追って描かれています。
「ぽたあん」と入れて「ぷつぷつ」してきたら、「しゅっ」「ぺたん」とひっくり返すと「ふくふく」焼けてきます。
簡単な言葉と絵だけなのに、匂いまで伝わって来そうなすばらしさ!見ると必ずホットケーキが食べたくなります。
何でも興味津々、何でもやりたがりの2歳児にはたまらなく魅力的らしく、何度も何度もこの本を見ては、自分で作って食べた気になっていました。
もちろん本当にホットケーキを焼く時は、必ず台を持って来て「ぷつぷつ」のところで「あ!あ!」と教えてくれました。
初めて一緒に作ったのもホットケーキだったし、今でも一緒に作ると思い出します。
しろくまちゃんのほっとけーき
わかやま けん:作
こぐま社
しりとりしましょ! ーたべものあいうえお
言葉のリズムと絵で見せる赤ちゃん絵本から、少しずつ文章のある絵本に移って行く中で、子どもの好きな物が描かれていたら興味を持ってくれるかなと思い、図書館でこの本を選びました。
2歳のころの娘は食欲も旺盛で、食べる事が大好きだったので、食べ物がたくさん描かれていたら喜んでくれるかなと思いました。しかも“しりとり”遊びも出来てちょうどいい!
食べ物がそれぞれキャラクターのように描かれていて、独自の動きをしています。
ユーモラスな場面の連続で、「何をしているのかな?」と親子で想像を膨らませながら見るのも楽しみの一つです。
案の定、娘はこの本が大好きになり、図書館へ行くと毎回選んで持って来ていました。
本への興味に母も味をしめ、以降、食べ物系の絵本が続きました。
しりとりしましょ!ーたべものあいうえお
さいとうしのぶ:作
リーブル
おおきなかぶ
「うんとこしょ どっこいしょ まだまだ かぶは ぬけません」
歌うようなこのフレーズとともに、おじいさん、おばあさん、孫、犬、猫…と、かぶを抜く人が増えていきます。
同じパターンの繰り返しは、ストーリーのある本を読み始めた小さな子にはぴったりです。「それで?それで?どうなるの??」と、目をキラキラさせて期待してくれます。
また、うちでは何度も読み聞かせをする中で、かぶを引っぱる人に息子本人や、おねえちゃん、父、母、おじいちゃんおばあちゃんなど、身近な人をどんどん登場させていたら、とても喜んで本の世界に入り込んでいました。
おおきなかぶ
ロシア民話/A.トルストイ:再話/内田 莉莎子:訳/佐藤 忠良:画
福音館書店