matsubockrin 子どもの本棚

親子で読んだおすすめの絵本・児童書を紹介します。

風まかせの旅人『ふらいぱんじいさん』

大好きな卵を焼く仕事を、新しいめだまやきなべにとって代わられたふらいぱんじいさんが、自分の役目を探すために外の世界へ飛び出します。ジャングルでヒョウやサルに捕まったり、海で嵐に巻き込まれたりと大冒険をしながら、自分が必要とされる場所を探しに行きます。

 

ふらいぱんじいさんの意思とは関係なく巻き込まれていく冒険が、次から次へと展開して子どもたちを飽きさせません。狭い台所しか知らなかったじいさんが旅で出会う景色は、砂漠や海などスケールの大きなものばかりです。大きな場所で小さなフライパンが四苦八苦している様子がおもしろく、途中で出会う生き物もまた、フライパンの事を知らないので、勘違いが生まれます。

でも風まかせの運命を受け入れて面白がり、順応していくフライパンじいさんはすごいなあと思います。じいさんなのに、柔軟です。

そうして流れ着いた場所で、求められた事が次の役割になるという、大人もちょっと考えさせられるお話です。

娘に読んだ時、「『とんでったバナナ』みたい!」と笑っていました。バナナがつるつる飛んで、色々な所を渡っていく歌です。どちらも主人公が予想できない流れに身を任せ、飄々と渡り歩くお話に、柔軟な子どもたちはワクワクするのだろうなと思います。


ふらいぱんじいさん
神沢 利子:著 / 堀内 誠一:絵
あかね書房