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親子で読んだおすすめの絵本・児童書を紹介します。

かいじゅうたちのいるところ

いたずらっこのマックスは、かいじゅうみたいに大暴れするので、お母さんに叱られて、寝室に閉じ込められてしまいます。すると突然床から木が生えて森になり、波が打ち寄せて船が現れると、マックスは長い航海に出てかいじゅうたちのいる所に辿り着きます。

かいじゅうたちはマックスを見つけると大きな声を出して怖がらせますが、マックスが怒鳴り、睨み付けると恐れ入ってしまい、マックスを自分たちの王様にして、一緒に遊ぶことにしました。

 

今はあまりないかもしれませんが、昔は叱られるとどこかに閉じ込められる、という事がよくあったと思います。そういえば私も何度か押入れに閉じ込められました。

真っ暗でひとりぼっちで、怖くて寂しいのですが、だからこそ空想の世界が広がります。

何も見えないから見えてくる物、もしこんな事があったら、それがこうなったら…、時間はあるので、心ゆくまで頭の中の物語を発展させる事ができます。

マックスが訪れたかいじゅうたちのいる所も、閉じ込められた寝室にあったのかもしれません。暗くて怖いからおばけやかいじゅうが出そうだけれど、もし友達になったらどんな事をするだろうか?どんな事をして遊ぼうか?あれこれ思いを巡らせて、自分の世界に入り込みます。

でもふと我に帰る瞬間が訪れて、やっぱりここから出たいな、おなかが空いたなと寂しくなります。

 

かいじゅうたちのいる所から寝室に戻ったマックスは、あたたかいごはんが置いてある事に気がつきます。戻る場所があり、受け入れられている安心感に、マックスも絵本を読む子どもたちも、ホッとするのではないでしょうか。


かいじゅうたちのいるところ
モーリス・センダック:作/神宮輝夫:訳
冨山房