matsubockrin 子どもの本棚

親子で読んだおすすめの絵本・児童書を紹介します。

からすのパンやさん

いずみがもりの木の上に、カラスのパンやさんがありました。

夫婦でお店を切り盛りしていましたが、4羽のかわいい子どもが生まれてからは、お世話で仕事もままならず、パンを焦がしたり、お店が汚れたりで、すっかりお客さんがいなくなってしまいました。

貧乏になったカラス家の子ども達が、おやつに出来損ないのパンを食べていると、周りの子ども達が「おいしそう!」と興味津々。

パンを買いに来る小さなお客さん達の為に、カラス一家は知恵をしぼって、たくさんの種類のパンを作ります。

 

かこさとしさんの絵本には、細かな物や人がたくさん出てきます。

『だるまちゃんとてんぐちゃん』では、だるまちゃんの為に家中の帽子や履物を広げて探したり、『からすのぱんやさん』では、様々な形のパンが所狭しと並びます。

どれも見開き1ページにどーん!と並んでいるので圧巻です。

絵本を見る子ども達は、目移りしながら面白い物を探します。かえるパン、サボテンパン、おかまパン、てんぐパンなどなど。ダイヤル式電話やブラウン管テレビのパンなど、昭和的なラインナップに母も見入ってしまいます。

 

そして噂の広がったパンやさんにたくさんのカラスが押し寄せますが、その描写も細かくて面白い!老若男女、様々な職業とファッションセンス、良いカラス、怪しいカラスと様々です。なぜか花嫁さんまで並んでいます。

そんな、様々な物の表情や背景がたくさんの想像を生み出して、子どもも大人も笑いながらサイドストーリーを考えます。

かこさとしさんがあとがきで書いていますが、そういうカラス一羽一羽のストーリーを、読み手が独自に想像して楽しめる事が、かこさんの魅力の一つかなと思います。


からすのパンやさん
かこさとし:作/絵
偕成社