matsubockrin 子どもの本棚

親子で読んだおすすめの絵本・児童書を紹介します。

おしゃべりなたまごやき

寺村輝夫/作”と見ると、「おもしろそう」と反応してしまいます。

子どもの頃に読んで面白かったお話に、寺村さんのものが多かったからかなと思います。その中で一番初めに読んだお話が、この『おしゃべりなたまごやき』です。

 

毎日が退屈な王様が、ぎゅうぎゅうづめのニワトリ小屋の戸を開けてしまいます。弾けるように飛び出したニワトリたちが、王様を追いかけて城中大騒ぎになりました。自分が開けたと言い出せない王様は、一部始終を見ていた一羽のニワトリに「だれにも言うなよ」と言い聞かせます。

 

それまで読んでいた昔話に出てくる王様は、威厳があったり、威張っていたりと“大人”でしたが、寺村さんの王様は、お茶目で愛嬌のある、子どもみたいな王様です。これは『ぼくは王さま』シリーズでもそうで、“かわいい王様”という新しいキャラクターを作り上げた功労者なのではないかと思うくらい。“王様”という肩書きとのギャップがまた、子ども心にも楽しかった記憶があります。

赤を基調とした長新太さんの絵もインパクトがあり、見ているだけでも楽しくなります。


おしゃべりなたまごやき
寺村 輝夫 :作/長 新太 :画
福音館書店