matsubockrin 子どもの本棚

親子で読んだおすすめの絵本・児童書を紹介します。

ちいさいおうち

静かな田舎の丘の上に、ちいさいおうちが建てられました。とても丈夫な家で、何年もずっとそこに建っています。その間に、まわりの景色はどんどん変わっていきました。

ひなぎくやりんごの木の代わりに、大きな道路ができ、電車が走り、ビルが立ち並びました。ちいさいおうちは、以前のような場所に戻りたいと思うようになりました。

 

バージニア・リー・バートンの、あたたかみのある絵がとてもかわいい!

ちいさいおうちと、そのまわりに住む人たちがとてものどかで平和です。

でも大きな道路が出来てから、どんどんその風景が壊されていきます。

どんどん、どんどん壊されていって、「もうやめてー」と思うくらい。

のどかな風景から一変、黒ばかりの世界になっていくので、本を見る子どもたちも「なにごとか」と思うはずです。

 

バートンの生きた1900年代初頭のアメリカは、こんな変化がたくさんあって、胸を痛めていたのかもしれません。

100年経った日本でも、のどかな風景が数年で一変することはたくさんあります。

この絵本は“ちいさいおうち”そのままに、100年後も200年後も残っている、強いメッセージを持つ本なのだと思います。


ちいさいおうち
バージニア・リー・バートン:作/いしいももこ:訳
岩波書店